CMapのバージョンの違い
- Unicodeの符号位置とCIDの対応を規定するCMapの改定の軌跡について、UniJIS-UTF32-Hをベースに整理してみようと思う。ただし、すべてのバージョンのCMapファイルが手元にあるわけではないので、不明な部分や推測に頼っている部分もある。今回のエントリの内容は、(断定的に書いてある部分も含めて)あまり信用できない。
- Adobe-Japan1-5の最初のバージョンとなるのが、UniJIS-UTF32-Hの1.000。Unicode 3.2に対応する。(UniJISX0213-UTF32-HとUniJIS-UTF32-Hの違いはあるが)Nの付かないヒラギノが、このバージョンのCMapを採用している。
- UniJIS-UTF32-Hの1.001では、下図のマッピングが追加された。以下の図において、文字の下の数字はCID。赤字のCIDは複数の符号位置に対応することを表す。U+29FCEの複雑な事情については、「U+29FCEとU+29FD7の混乱」を参照。
- UniJIS-UTF32-Hの1.002では、下図のような変更(修正)が行われた。
- UniJIS-UTF32-Hの1.003は持っていないが、たぶんこれがAdobe-Japan1-6の最初のバージョン。Unicode 4.0に対応するために、下図のマッピングが追加された。Adobe-Japan1-6におけるUnicodeのサポートは、文字セットの拡張ではなく、すでにあるグリフへのUnicodeマッピングの追加という形をとる。手元にあるフォントでは、モリサワのPr5フォントがこのバージョンのCMapを採用しているようだ。すなわち、モリサワのPr5フォントはUnicode 4.0フォントであると言える。
- UniJIS-UTF32-Hの1.004も持っていないが、Adobeのフォント開発キット(FDK 2.0 for Mac OS X)に含まれるリリースノートによれば、このバージョンではUnicode 4.1に対応するために下図の8つのマッピングが追加された。
- UniJIS-UTF32-Hの1.005も持っていない。1.004と1.005の違いは不明。
- UniJIS-UTF32-Hの1.006では、http://www.ghostscript.com/pipermail/gs-cvs/2006-May/006490.htmlによれば、下図のマッピングが追加された。Adobe CS3に付属する小塚書体は、UniJIS-UTF32-Hの1.004か1.005か1.006あたりのバージョンを採用しているものと思われる。
- UniJIS-UTF32-Hの1.007では、以下のマッピングが追加された。
- UniJIS-UTF32-Hの1.008は持っていないが、その次のバージョンである1.009は「未来のCMap」なので、(UniJISX02132004-UTF32-HとUniJIS-UTF32-Hの違いはあるが)現行のヒラギノProNに対応するのが1.008なのではないかと想像される。そうであるなら、1.008では以下のマッピングが追加されたこととなる。
- 現在http://examples.oreilly.de/english_examples/nutshell/cjkv/adobe/から入手できるUniJIS-UTF32-Hの最新のバージョンが1.009。このCMapには、Adobe-Japan1-6(経由で共同通信社のK-JIS漢字および写研のSK漢字)をソースとしてUnicode 5.1に収録される予定の7文字のマッピングが、すでに含まれている(下図)。