なぜ全角ダッシュは欧文約物形状になったのか

  • Shift-JISとUnicodeでグリフが変わるのは、全角ダッシュだけではない。たとえば、セント記号について見てみよう。JIS X 0208は、1区81点「セント記号」の幅を規定していないが、MacJapaneseにおける実装は全角、対応するAdobe-Japan1のグリフも全角(CID+713)である(下図)。


  • Unicodeには、2種類のセント記号(U+00A2 CENT SIGNとU+FFE0 FULLWIDTH CENT SIGN)がある。JIS X 0208:1997における1区81点の名前は「CENT SIGN」。つまり、U+00A2のほうと対応し(下図、青矢印)、Adobe-Japan1のグリフはプロポーショナル(CID+102)となる。


  • 下図は、上の2つの図を一緒にして対応の「ねじれ」を示したもの。


  • 全角ダッシュの例も、基本的にはこれと同じ構造であると考えられる(下図)。セント記号の例と比べると、全角ダッシュの例ではUnicodeの符号位置とCIDの対応(赤矢印)が自明とは言えないけれど、Adobe-Japan1フォントの仕様としては妥当なところだと思う。個別に見れば適切なマッピング・テーブルでも、つなぐと「ねじれ」が生じることがある、という結論でいいだろうか。