もし田村ゆかりがメイリオの実装に突っ込んだら
- 前回の「Windows 8のIVS実装一覧表」を見てて思ったんですけど、これ見よがしに色を付けて強調されてる例がありますよね。
- ああ、メイリオだけがサポートしている(MS明朝・MSゴシックがサポートしていない)IVSね。
- これって、どこから来た字なんですか?
- ……?
- 着地できずに断念した。ちなみに、とがめは向かって右のほうだぞ。
- ちょっと何を言ってるんだかわかりませんが、思いとどまって正解でした。
- で、丁寧な説明と簡単な説明があるけど、どっちがいい?
- じゃあ、丁寧なほうで。
- んー。要するに、新たに入ったってことですか?
- なるほど。
- うん。まず、それが謎だね。この図で使ってる小塚Pr6N 6.014(CS6に付属)よりもWindows 8のメイリオのほうが新しいわけで、タイミング的にはUnicode 6.0までは余裕でサポートできたはずなんだけど。それが、Unicode 5.2さえ部分的にしかサポートしてない。
- メイリオの場合、実質的には、入力方法がない。たとえばUnicode 6.0で入った字の先頭に「今」の異体字があるでしょ? 小塚なら、たとえばInDesignで「今」って打ってから字形パネルで異体字に置き換えたりできるんだけど、メイリオはそういう置換方法(aalt)をサポートしてないし、全グリフのリストから入力しようとしても、並び順が独自だし。
- だったら、さっきの図ではどうやって入力したんですか?
- おつかれさまでしたー。
- はいはい。そこまではわかりました。
- 言い換えれば、この5つのグリフは、IVSを使わなくても表現できるようになったわけだ。
- え?
- この5文字のマッピングがない環境では、「点のついた恵」は「恵」を親字(基底文字)としてIVSで「6075 E0101」と表現するしかなかった。それが、単純に「FA6B」で済むようになった。こういう「IVSを利用して区別していたグリフが、あとから独立した文字としてUnicodeに収録された」というのは珍しいケースだけどね。
- つまり、その5つのIVSは必要のないIVSってことですか?
- ざっくり言っちゃえば、そうだね。
- どうしてわざわざ珍しいケースの「必要のないIVS」を選んでサポートしたんですか?
- 勘違いでしょ。*2
- えっ?
- まあ、実害があるわけじゃないし、バグだと言うつもりはないけど。
- ええっ?
- だから、そのキャラ知りませんってば。