2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

グリフ(glyph)という言葉の定義をめぐって

『基本 日本語活字見本集成 OpenType版』に含まれる「デジタル活字の基礎知識」では、小形さんが用語の定義を担当されているが、「グリフ」の定義がわたしの用語法と違っているので、そのあたりの事情について書いておこうと思う。 JIS X 0208:1997は、「字…

リュウミンのCID版とOTF版では漢字の形はどれくらい違うのか

CIDフォント版のリュウミンの字形は、JIS83の例示字体を参照して設計されたものである。一方、OpenTypeフォント版のリュウミンでは、標準の字形はAdobe-Japan1経由でJIS90の例示字体を参照したものとなっている。そしてOpenType版では、'jp83'タグによるグリ…

例の黄色い本

小形さんのところでも紹介されているように、誠文堂新光社刊の『基本 日本語活字見本集成 OpenType版』で、フィーチャー・タグの解説とAdobe-Japan1-5のエリア解説のようなものを書いている。 出た早々でたいへん申し訳ないのだが、取り急ぎ訂正。同書533ペ…

JIS2004とJIS90との文字の形の対照表

Adobeのサイトで「Windows Vista上のJIS2004基準のフォントについて」という文書が公開されており、そこから「JIS2004とJIS90との文字の形の対照表」というPDFファイルを入手することができる。 この資料に含まれる目新しい情報は、下図ピンク地の部分。現行…

リュウミンの'jp83'実装

前回のエントリの続き。'jp83'用のグリフ集合229文字のすべてについて、リュウミンの実装字形をAdobe-Japan1の例示フォントである小塚明朝と比較した。以下の図では、(JIS90の規格票例示字体を参照する)標準グリフを青で、'jp83'グリフを赤で表示して重ね…

'jp83'の実装字形

Adobe-Japan1は細かな違いを区別する体系だが、そのグリフ集合を規定しているTechNote #5078(http://partners.adobe.com/public/developer/en/font/5078.Adobe-Japan1-6.pdf)の例示グリフをどこまで忠実に再現するかの判断は、最終的には実装者に委ねられ…

Adobe Illustrator CS2のグリフ置換の問題(総論)

昨日のエントリで、わたしは以下のように書いた。 'jp83'タグ用のグリフ集合は229文字からなるが、このなかに(「松」と「枩」のように)異体字のペアが存在する場合、Illustrator CS2は'jp83'タグを適用された文字を、「その異体字のほうのJIS83字形」に置…

Adobe Illustrator CS2のグリフ置換の問題(「JIS83字形」編)

Adobe Illustrator CS2で「松」と入力して選択し、字形パレット右上のオプション・メニューで「JIS83字形」を指定すると「枩」に置換される。この動作は、もちろん正しくない。 'jp83'タグ用のグリフ集合は229文字からなるが、このなかに(「松」と「枩」の…