朝日新聞の字体変更
- 朝日新聞の1月9日朝刊で次のような告知を目にしたので雑感をメモ。
- なぜ今なのか。国語審議会による表外漢字字体表の答申は2000年12月。それからすでに6年以上が経過している。Windows VistaにおけるMS書体の字形変更は朝日新聞の変更とほぼ同時期ではあるが、Microsoftの場合、JIS X 0213の改正(2004年2月)を待った上での変更だから、この時期になったのは理解できる。しかし朝日新聞の場合、単純に表外漢字字体表のサポートと考えるには、タイミング的に遅すぎる気がする。わたしはこれまでずっと、朝日新聞は(答申されたが内閣告示にはならなかった)表外漢字字体表をサポートする気がないのだと思っていた。
- システム上、どこまで自動で処理されるのだろう。字体を変更すると言っても、(おそらく多くの場合)朝日新聞のCTS(電子写真植字システム)は以前から「略字」の方だけでなく「印刷標準字体」をも含んでいたものと思われる。また、記者が記事を書くのに使っているのは専用端末ではなく一般的なPCだろうから、現実にはPC上の符号位置とCTPのグリフ・イメージの対応関係が変更されるのだろう。そして、より自動化を徹底するなら、たとえば「壷」と「壺」のように両方の符号位置がJIS X 0208に含まれるようなケースでは、「壷」は印刷標準字体の「壺」に自動置換ということになるのだろうが、ここまでやるのだろうか。
- これまでは原則として、朝日新聞は固有名詞を含めて略字を使用してきたわけだが、15日以降は「略字で表記される固有名詞」にも印刷標準字体を使用するのだろうか。たとえば、奈良県葛城市の「葛」のようなケース(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%9B%E5%9F%8E%E5%B8%82)はどのような扱いになるのだろう。