『「Windows Vista」で変わる文字環境』に突っ込んでみる
- モリサワから『「Windows Vista」で変わる文字環境』という資料が公開されている(http://www.morisawa.co.jp/biz/news/2007_06_01_vista.html)。すでに誰かが言っているかもしれないが、とりあえず気になった点をメモ。
- 『「Windows Vista」で変わる文字環境』巻末の「JIS X0213:2004印刷標準字体表」では、JIS04で例示字形を変更された168文字のうち「Microsoft字形変更分(122字)」を黄色でマークして示したと書かれている。
- しかし、MicrosoftがWindows Vistaで字形を変更したのは(母集合を168文字に限定しても)「122字」ではない。たとえば168文字のうち「喰隙餐兎牌」などはMS明朝でもMSゴシックでも字形が変更されている(下図はMicrosoftの資料の一部)。
- が、「JIS X0213:2004印刷標準字体表」ではマークされていない。
- Microsoftの字形変更と「122字」の関係についての詳細は、安岡さんのところの「Vistaで「jp90」タグがサポートされる122字」「メイリオで「jp90」タグがサポートされる156字」あたりを参照。
- 「JIS X0213:2004印刷標準字体表」には、注釈として「マイクロソフトが公表している122文字の字体変更内容には印刷標準字体表を基にした変更点168文字以外に1文字の変更が含まれています」という記述がある(この「喩」の話については「Windows Vistaのjp90タグにおける「喩」の問題」を参照)。
- すでに述べたように「マイクロソフトが公表している122文字の字体変更」もおかしいが、次の「印刷標準字体表を基にした変更点168文字」もおかしい。「印刷標準字体表」ではなく「表外漢字字体表」とするべきだろう。何度も書いている気がするが、JIS04で例示字形を変更された168文字のうち「芦」は印刷標準字体ではなく簡易慣用字体である。