Adobe-Japan1におけるキャロン付きの「d」「L」「l」「t」
- もじもじカフェ(http://www.moji.gr.jp/cafe/themes/013/)の懇親会で狩野さん(http://khdd.net/kanou/)から聞いた話を、若干ふくらませたりしながらメモ。
分音記号の形状と位置にはかなりのバリエーションがあり、そのような差異をよく知らない読者を驚かせることがあるかもしれない。たとえばチェコ語の組版では、U+010F LATIN SMALL LETTER D WITH CARONおよびU+0165 LATIN SMALL LETTER T WITH CARONはしばしば、キャロン(一般にはハーチェクとして知られる)ではなく、アポストロフィ付きのグリフによって描画される。(中略)スロヴァキア語では、この用法はU+013E LATIN SMALL LETTER L WITH CARONおよびU+013D LATIN CAPITAL LETTER L WITH CARONにも適用される。このようにアポストロフィを利用することで、文字のアセンダを超えることによる複数の行の衝突を回避することができ、結果としてよりよいタイポグラフィがもたらされる。タイプライタや手書きによる書類、あるいは教科書的・教育的資料では、ハーチェク付きのグリフが好まれる。
- Unicode 2.0では、これらの文字はキャロン(ハーチェク)付きのグリフで例示されていたが、Unicode 3.0以降ではアポストロフィ付きのグリフに変更された。次の引用は、Unicode Standard 5.0の564ページより。オリジナルでは《》内は1文字。
U+010F LATIN SMALL LETTER D WITH CARONは、通常《キャロン付きd》ではなく《アポストロフィ付きd》で組まれる。このような例では、コードチャートには、より一般的なバリアントを、教科書的・原形的な形状よりも優先して掲示する。
- 下図では、これらの文字がフォントによってどちらのグリフで実装されているのかを示した。ヒラギノとリュウミンはキャロン付きグリフ派。Mac OS Xに付属するHelveticaやTimesはアポストロフィ付きグリフ派。