モリサワのメイリオ準拠フォントとメイリオとの不一致

  • メイリオはJIS04の例示字形を参照してデザインされたフォントであり、また、そのグリフセットの漢字レパートリはAdobe-Japan1-5を参照していると考えられる。では、'jp04'グリフがAdobe-Japan1-5の範囲に含まれない例について、メイリオではどうなっているのか。
  • 下図は、'jp04'グリフがAJ15の範囲に含まれない例を小塚明朝で示したもの。右側(Pr6Nの標準グリフ)が'jp04'グリフ。


  • Adobe-Japan1のリュウミンは、これら8組16のグリフのうち、5つのペアを区別し、3つのペアを区別しない(下図)。以下の図では、小塚明朝の'jp04'グリフに近い字形を水色地で、非'jp04'グリフに近い字形をピンク地で示す。


  • ヒラギノProNは、「JIS04基準のAJ15フォント」という点にで、メイリオと似ている。ヒラギノProNは、件の'jp04'グリフ8文字を、AJ15の範囲を超えて追加している。ただし実装字形としては、追加分の8文字は、いずれも対応するAJ15内のグリフと区別されない(下図)。


  • メイリオの場合、収録している漢字の文字数(GIDベース)は、Adobe-Japan1-5における漢字の文字数(CIDベース)と等しく、ヒラギノProNのような「追加」はない。つまり、「AJ15に存在するグリフを優先」か「'jp04'グリフを優先」か、いずれかということとなる。
  • しかし、見ただけでは、どちらを優先する方針なのかわからない。下図において、水色地とピンク地は、ほぼ半々。いちばん下のGID+16215は、小塚明朝におけるCID+15319(ピンク地)とCID+22920(水色地)の中間のようなような形(草冠は3画、その下の部分は非接触)。


  • 書体設計上、個々のグリフについて「区別しない」という選択肢もあるので、上図で水色地とピンク地が混在しているのは、別に奇妙なことではない。もしかすると「どちらを優先するか」を決定するまでもなく、いずれの差異も区別しないということなのかもしれない。


  • 下図は、メイリオ準拠のリュウミンの実装に謎のある部分をピックアップしたもの。上2つは、Adobe-Japan1のリュウミンで区別があり、なおかつメイリオ準拠のリュウミンで(あえて?)一致しないほうが割り当てられている例。U+9A4Aは、前回のエントリとも関連する複雑なケース。