モリサワProNで追加されている文字
- モリサワパスポートの2010年版には、モリサワのProN書体というのが入っている。同じ「ProN」でも、ヒラギノProNのレパートリはAJ15(プラス8文字)だが、モリサワProNはAJ14(プラス81文字)。今回は、この追加分の「81文字」の中身を見てみよう*1。
- たとえば、U+6677(図の最初の文字)は、モリサワProではAJ14の範囲内のCID+14609だが、JIS04基準のcmapではAJ15のCID+16889に変更されている。このため、CID+16889を追加せずにJIS04基準のcmapを採用した場合、モリサワProでは出せたU+6677が(グリフ置換をサポートしたアプリケーション以外では)出せなくなってしまう。このようなことにならないよう、「マッピング変更」に関しては文字の追加で対処しているものと思われる。上図の72文字のうち、赤字の註が付されていないものが、「マッピング変更」による追加。
- それ以外に、モリサワのProNでは、人名用漢字(上図「人」)、表外漢字字体表(nlck)、K-JIS漢字をカバーするための追加を行っている*3。また、最新のテーブルによるグリフ置換をサポートするために、jp78用とhojo用のグリフを追加している。
- 非漢字の追加は、下図に掲げた9文字で、すべてルビ用グリフ。AJ14に含まれないルビ用グリフの一部サポートしているのだが、よくわからないのは、小書きの「こ」と「コ」のヨコ用とタテ用のルビ用字形。まず、用途が謎。JIS X 0213に入っている小書きカタカナ(のルビ用字形)を差し置いて、わざわざ追加している以上、何かしら具体的な使い方を想定しているのだろうと思うのだけれど、想像がつかない。また、InDesignでは、Unicodeマッピングを持たないグリフに対するルビ用字形は使えないと思うのだが、使えるアプリもあるのだろうか。