Adobe-Japan1と汎用電子のIVSは統合できるのか
- Adobe-Japan1と汎用電子に同じグリフがある場合、IVSを共有したほうがよいのではないかという議論がある。もちろんそうすることによるメリットもあるのだが、同時にやっかいな問題も存在する。
- 見た目や出自の点で「同じグリフ」であっても、Adobe-Japan1と汎用電子では、その包摂範囲が同じであるとは限らない。このため、一方のIVSに正規化すると、グリフの同一性が損われるおそれがある。
- たとえば「次」のE0100(Adobe-Japan1)とE0103(汎用電子)は、いずれもJIS X 0208:1990の例示字形を参照しており、明らかに同じ字であると考えられる。しかし、Adobe-Japan1にはE0100とE0102の区別があるのに対して、汎用電子ではどちらの形もE0103に包摂されている(下図)。
- このため、水色地のグリフであることを明示的に表現するための(Adobe-Japan1の)6B21 E0100というIVSに対して、「汎用電子側への正規化」を行い、6B21 E0103に変換すると、(Adobe-Japan1ではE0102で表現されるはずの)ピンク地のグリフに「化けて」表示される可能性がある。
- 逆のケースもある。たとえば「冢」が水色地のグリフであることを明示的に表現するための(汎用電子の)51A2 E0101というIVSに対して、「Adobe-Japan1側への正規化」を行い、51A2 E0100に変換すると、(汎用電子ではE0103で表現されるはずの)ピンク地のグリフに「化けて」表示される可能性がある。