PRI 183についてのメモ

  • PRI 183を、ざっとチェックしたので、その内容についてメモ。PRI 183は、Adobe-Japan1のグリフを表現するための、32のIVSの追加提案(の公開レビュー)であり、IVDのUnicode 6.0対応を図るアップデートだ。
  • 下図は、新たにIVSで表現することが可能となる20文字(白地)。符号位置の右は、その字を追加したUnicodeのバージョン。括弧内はソース。UTCソースはAdobe-Japan1そのもの。CID+13763は、一度はU+5DE5には包摂されない(IVSにおいてU+5DE5を基底文字とすることはできない)と見なされた経緯があるが、結局以前の提案(PRI 98)通りの形に戻ったようだ。


  • 追加される32のIVSから上図の20文字を引いた残りの12のケースでは、登録済みのグリフに対して、別の(2つ目の)IVSを割り当てることになる。一度登録したIVSは変更または削除することができないので、より適切な基底文字が出てきた場合、そちらにも新たにIVSを振るしかない。
  • 下図は、より適切な基底文字(青字の符号位置)がUnicode 6.0で追加された例。JHソースは汎用電子。グレー字の符号位置は、以前からIVSの基底文字として登録されているもの。


  • CID+13723(上図右上の赤枠)の基底文字としては、U+2363AよりもU+2B78Eのほうが適切だと思われるが、「できるだけIVSの重複を増やさない」という方針により、U+2B78Eを基底文字としたIVSが追加されるのは、U+2B78Eの例示とドンピシャで一致するCID+13724のみとなっているようだ*2。CID+14065(上図左下の赤枠)も同様の事情。
  • 下図は、より適切な基底文字(青字の符号位置)がUnicode 5.2で追加された例。JARIBソースは、ARIB(社団法人電波産業会)外字。


  • 下図は、より適切な基底文字(青字の符号位置)が既存の漢字(CJK統合漢字拡張B)の中から発見された例。CID+20152は、(IVSの基底文字だけでなく)直接のマッピングもU+6AF8(櫸)だったので、小塚明朝だけではU+6AF8とU+237F1の違いがわからない。左側に大きな字でUnicode Standardの例示字形を示した。CID+20152については、今後Adobe-Japan1フォントのcmapも変更されることになるのだろうか。

*1:ただし、CID+20156の基底文字であるU+9FCCは、Unicode 6.1で追加される予定の(まだUnicodeに入っていない)文字。

*2:Ken Lundeさん、情報ありがとうございます! http://twitter.com/#!/ken_lunde/status/83755962040721408