Appleカラー絵文字の「勝ち誇った顔」がニヤけている理由
- Appleカラー絵文字の「勝ち誇った顔」(U+1F624 FACE WITH LOOK OF TRIUMPH)をUnicodeのコード表と比べると、かなり印象が異なる。予備知識なしに両者を見て「同じ字」だと思う人はいないだろう(下図)。
- Appleカラー絵文字のうちモノクロのもの(Lionで追加された分)は、ケータイ絵文字のUnicodeへの収録過程におけるGoogle・Apple提案(いちばん最初の提案)の字形を流用しているようだ。
- しかし、「勝ち誇った顔」は、非常にややこしい経緯のあった字で、審議の過程で本質的な修正がなされている。この字については、Appleカラー絵文字でもUnicode 6.0の例示を尊重したものを実装して欲しかった。
- Google・Apple提案の「勝ち誇った顔」のグリフを修正するべきだった理由は「Unicodeのケータイ絵文字対応表への疑問」(この記事におけるUnicodeの符号位置は提案時のもので、最終的に決定したものとは異なるので注意)を参照。その後、小形さんたちと提案した文書(絵文字の修正案)が「http://std.dkuug.dk/jtc1/sc2/wg2/docs/n3711.pdf」。そのまた後に、この修正案を補強するためのマンガの用例を小形さんが募集(「お願い:この絵文字に似たマンガのコマを送ってください」)。集まったなかに『ハチミツとクローバー』の森田センパイの一コマがあって(「その後届いたマンガのコマ②」)、これは提案文書には採用されなかったのだけれど、直接Michael Everson氏に見せる機会があって、そこからUnicode 6.0の鼻息噴射グリフが生まれた。といった経緯だったように記憶しているのだが、細部は違っているかもしれない。