先生怒らないからリュウミンは手を挙げなさい
- IVSファンの皆さん、こんにちは。
- いえ、ぜんぜんファンとかじゃないですから。
- 『Unicode IVS/IVD入門』(田丸健三郎、小林龍生)の目玉と言えるのが、表2-7の「Windows 8におけるJIS X 0208:1990字形と異体字セレクター」だよね。
- そうなんですか?
- なるほど。
- そこで、この表2-7に突っ込んでみよう、と。
- やっぱり突っ込むんだ……。
- 表のタイトルは大切だから、しっかり頭に入れておくといいぞ。「Windows 8におけるJIS X 0208:1990字形と異体字セレクター」だ。
- でさ、「字形」欄のフォントが、リュウミンなんだけどね。
- えっ?
- リュウミンなんだけどね。
- えっ? えっ?
- あのー、どうしてMS明朝じゃないんですか?
- 知らん。
- きっと、その2文字だけは例外扱いなんですよ。番号も入ってないし。
- それ以外にも「咬」とか「筵」とか、リュウミンがMS明朝の代わりにならない例はいくつもあるぞ。
- いやいや、小塚明朝のように規格の再現性を重視している書体なら(「Windows 8における」というタイトルを忘れさえすれば)そういう解釈も可能かもしれないけど、リュウミンはけっこう主張が強い書体だから、それは無理。たとえばリュウミンの「廻」や「挺」のえんにょうには筆押さえがないでしょ? これは「JIS90の規格票のグリフ」ではないし、そういう例は他にもいくつも……。
- うー。
- あとさ、表のヘッダに「JIS90」とあって、「E0100」とか「E0101」とか入ってる欄も、さっぱりわからないんだよね。
- 「筵」の「JIS90」欄を見ると、「n/a」になってるよね。
- フフフ。ちゃんとアンチョコ読んでおきましたから、知ってますよ。「筵」には事情があってMS明朝のIVSではサポートされてないんです。だから「n/a」になってるんです。
- とすると、この「JIS90」欄はMS明朝のIVSの実装を示しているってこと?
- 違うんですか?
- だって、MS明朝のIVSサポートは122文字なのに、「JIS90」欄はほとんど全部埋まってるでしょ。たとえば「筵」の2つ上の「竈」のIVSもMS明朝ではサポートされないけど、「E0101」って入ってるし。
- じゃあ、「筵」の「n/a」はどういう意味?
- あ……。ということは、どう理解すればいいんですか?
- いや、だから、さっぱりわからない、と。
- うー。
- ていうか、この表を見ていて感じたことを(その後しつこく調べた結果、今ではわかっていることも含めて)率直に言えば、「タイトルには『JIS X 0213:2004で字形変更された168字のうち』って書いてあるのに、その168字に含まれない『喩』や『濹』が註も何もなしで出てくるけど、これは何なの?」とか、「『JIS X 0202:1990の字形を表示する上で必要となる122(−1)字の追加グリフ』っていうのはこの表に含まれる字のうちのどれを数えてるの?」とか、「要するにMS明朝がサポートしているIVSはいくつあるの?」とか、「『JIS X 0208:1990の字形を表示する上で必要となる122(−1)字』ってことは、『喩』も数えている計算になるけど、それはJIS90字形ではないんじゃないの?」とか、「異体字セレクターを付けても表示が変わらない『棘』なんかの行にも異体字セレクターが掲載されているけど、それはどういう意味なの?」とか、「IVSについての表なら、この基底文字にこの異体字セレクタを付けるとこうなりますよって、before/afterの字形を載せるもんじゃないの?」とか、「ふざけんのもいい加減にしろこのスットコ
- えー、お話の途中ですがお別れの時間が来てしまいました。それでは皆さんまた来週!