先生怒らないからリュウミンは手を挙げなさい

  • IVSファンの皆さん、こんにちは。
  • いえ、ぜんぜんファンとかじゃないですから。
  • そうなんですか?
  • Microsoftの人が執筆しているIVS本なんだから、焦点は当然Windows 8のIVS対応。皆さんそこが知りたいわけでしょ?
  • なるほど。
  • そこで、この表2-7に突っ込んでみよう、と。
  • やっぱり突っ込むんだ……。


  • はいはい。Windows 8ではIVSをどのように駆使して「Vistaで変更される以前のMS明朝のグリフ」を表示するのか……ってことですね。
  • でさ、「字形」欄のフォントが、リュウミンなんだけどね。
  • えっ?
  • えっ? えっ?


  • あのー、どうしてMS明朝じゃないんですか?
  • 知らん。
  • うーん。「Vistaで変更される以前のMS明朝のグリフ」をリュウミンで表現してるってことですか?
  • いや、「喩」と「濹」が違う。リュウミンPr6だとこの形がデフォルトなんだけど、「MS明朝の代わり」として(XPグリフを表現するために)リュウミンを使うなら、これは置換しておかないとダメ。


  • きっと、その2文字だけは例外扱いなんですよ。番号も入ってないし。
  • それ以外にも「咬」とか「筵」とか、リュウミンがMS明朝の代わりにならない例はいくつもあるぞ。


  • じゃあ、「Vistaで変更される以前のMS明朝の字形」ではなくて、「JIS90の規格票のグリフ」をリュウミンで表現しているのかも?
  • いやいや、小塚明朝のように規格の再現性を重視している書体なら(「Windows 8における」というタイトルを忘れさえすれば)そういう解釈も可能かもしれないけど、リュウミンはけっこう主張が強い書体だから、それは無理。たとえばリュウミンの「廻」や「挺」のえんにょうには筆押さえがないでしょ? これは「JIS90の規格票のグリフ」ではないし、そういう例は他にもいくつも……。


  • つまり、この表のリュウミンの字形を見ても、Windows 8のIVS実装のことも、一般論としてのIVSのことも、何もわからないってことですか?
  • うー。
  • あとさ、表のヘッダに「JIS90」とあって、「E0100」とか「E0101」とか入ってる欄も、さっぱりわからないんだよね。
  • 確かに説明が見当たりませんね。でも、素直に考えれば、「JIS90グリフを表す異体字セレクタ」って意味じゃないんですか?
  • 「筵」の「JIS90」欄を見ると、「n/a」になってるよね。


  • フフフ。ちゃんとアンチョコ読んでおきましたから、知ってますよ。「筵」には事情があってMS明朝のIVSではサポートされてないんです。だから「n/a」になってるんです。
  • とすると、この「JIS90」欄はMS明朝のIVSの実装を示しているってこと?
  • 違うんですか?
  • だって、MS明朝のIVSサポートは122文字なのに、「JIS90」欄はほとんど全部埋まってるでしょ。たとえば「筵」の2つ上の「竈」のIVSもMS明朝ではサポートされないけど、「E0101」って入ってるし。
  • あ、そうですね。つまり、この「JIS90」欄はMS明朝の実装とは関係なく、一般論としてJIS90グリフを指示するための(Adobe-Japan1の)異体字セレクタが記載されているということですね。
  • じゃあ、「筵」の「n/a」はどういう意味?
  • あ……。ということは、どう理解すればいいんですか?
  • いや、だから、さっぱりわからない、と。
  • うー。
  • ていうか、この表を見ていて感じたことを(その後しつこく調べた結果、今ではわかっていることも含めて)率直に言えば、「タイトルには『JIS X 0213:2004で字形変更された168字のうち』って書いてあるのに、その168字に含まれない『喩』や『濹』が註も何もなしで出てくるけど、これは何なの?」とか、「『JIS X 0202:1990の字形を表示する上で必要となる122(−1)字の追加グリフ』っていうのはこの表に含まれる字のうちのどれを数えてるの?」とか、「要するにMS明朝がサポートしているIVSはいくつあるの?」とか、「『JIS X 0208:1990の字形を表示する上で必要となる122(−1)字』ってことは、『喩』も数えている計算になるけど、それはJIS90字形ではないんじゃないの?」とか、「異体字セレクターを付けても表示が変わらない『棘』なんかの行にも異体字セレクターが掲載されているけど、それはどういう意味なの?」とか、「IVSについての表なら、この基底文字にこの異体字セレクタを付けるとこうなりますよって、before/afterの字形を載せるもんじゃないの?」とか、「ふざけんのもいい加減にしろこのスットコ
  • えー、お話の途中ですがお別れの時間が来てしまいました。それでは皆さんまた来週!