表外漢字字体表の呪い

  • 1998年9月に開催された国語施策懇談会で、朝日新聞社総合研究センター・メディア研究担当部長(当時)の森治郎氏は、「いわゆる康煕字典体を原則とする表外漢字字体表は、今後の常用漢字の見直しを困難にしてしまうのではないか」という意見を述べた。
  • この発言を受けて、第21期国語審議会第2委員会副主査の小林一仁氏は、「常用漢字の見直しは行わないというのが、表外漢字字体表の前提である。そういう縛りのなかで表外漢字について考えているのだから、前提を覆すような意見は無意味だ」という趣旨のことを述べた。比較的穏やかに進行した懇談会のなかでは珍しく、話者の感情が表に出た場面だったので印象に残っている。
  • それから10年。常用漢字の見直しが行われ、それが表外漢字字体表の影響でどういうことになっているかは、ご存知のとおり。だからどうだとか、誰が悪いとか言うつもりはないが、国語施策懇談会でのやりとりを記憶しているうちにメモしておく。