OpenTypeフォントの上付き文字と下付き文字

  • たとえば小塚明朝Pr6Nは、上付き文字・下付き文字を実現するフィーチャとして、'sinf'(Scientific Inferiors)、'subs'(Subscript)、'sups'(Superscript)をサポートしている。下付きのほうが2種類あり、どこが違うのか気になるところである。「InDesign文字組設定の手引き」(http://www.adobe.com/jp/products/indesign/mojikumi.html)では、これらは下図のように訳されている。この訳では(というか、普通に訳せば)、'sups'と'subs'が上下で対になる(黄色地)。


  • 一方、InDesignの字形パネルの「表示」メニューでは、'sups'が「上付き用数字」、'sinf'が「下付き用数字」と対になっていて、「下付き文字」の'subs'が仲間はずれだ(下図)。Illustratorの表記は「文字組設定の手引き」のほうに近い。


  • InDesignのやや不自然な訳の背景には、多くのAdobe-Japan1フォントが'subs'フィーチャをサポートしておらず、実質的に'sups'と'sinf'が対となるフィーチャとして機能してきたという事情がある*1。たとえば小塚Proは、最新のバージョンでも'subs'をサポートしていない(下図)*2


  • そのようなわけで日本語表記に関しては複雑なのだけれど、実用的な知識としては、(少なくともAdobe-Japan1フォントについては)単に「'subs'も'sinf'も効果は同じ」と覚えておけば問題ないと思う。

*1:もちろん、今となっては訳し直したほうがいいとは思うけど。

*2:'subs'フィーチャをサポートしているフォントは、ヒラギノProN、小塚Pr6N、モリサワPr6/Pr6Nなど。