Appleカラー絵文字の幼い兄妹はどこからきたのか
- おでんとかお団子とかお寿司とか?
- 天狗とかナマハゲとか東照宮のサルとか。
- はいはい。
- というわけで、日本っぽい絵文字は珍しくないんだけど、そんな中で異彩を放ってるのが、これ*1なんだよね。
- あれ? こんな絵文字ありましたっけ?
- Lionでは10.7.3、iOSでは5.1で入ったんだけど、実はこれ、日本のケータイ絵文字じゃないんだよ。
- どういうことですか?
- 日本のケータイ絵文字をUnicodeに収録する審議の過程では、ちょっと強引に単純化すると、ケータイキャリアの絵文字との互換性を重視する提案者(Google/Apple)側と、絵文字にまとわりつく日本文化の匂いを消したい国際派=脱日本派の綱引きみたいなものがあってさ。で、国際派が絵文字の体系を再構築しようとして送り込んだ文字のひとつが、このU+1F6B8 CHILDREN CROSSING。
- え? 国際派は絵文字の日本っぽさを消したいんですよね。それにしちゃ、ずいぶん和風ですけど?
- ありますね。
- はい。
- これがアメリカの交通標識の中の人だったんだよね。
- ホントだー。でも、どうして標識の絵なんか使ったんでしょう?
- 当たり前だけど、Unicodeの例示字形はアニメーションでてくてく歩いたりしないからさ。そのぶん、「歩く人」という意味をわかりやすく伝えるために、おなじみのシンボルを使ったってことじゃないかな。
- なるほど。
- そしたらそれを見た国際派が、「歩行者の標識が入っているなら、チルドレンの標識も必要だろ」と。
- えーっ。交通標識の中の人を例示に使ったばっかりに……。
- なーるほど、見えてきました。
- え?
- Appleは提案者側ですよね?
- うん。
- ならば当然、国際派には、さんざん煮え湯を飲まされたことでしょう。
- え?
- 永遠に続くようにも思われた臥薪嘗胆の日々……。
- え?
- そして……ついにその日がやってきたわけですよ。憎き国際派=脱日本派が無茶な理屈で送り込んだCHILDREN CROSSINGを、Apple自らの手でデザインするその日が。「ククッ、残念だったな、マイケル。貴様らの描いた国際性の幻など、こうしてくれるわ!」と。
- ないない。