IPAmj明朝がサポートしていないIVS

  • IPAmj明朝はHanyo-Denshiの2010-11-14版のIVDをサポートしているが、表示できないIVSが2つ存在する。以下、どういう事情でこうなっているのかについてメモ。
  • 表示できないIVSの1つ目は、「凞」を基底文字とする「51DE E0105」(JB1908)。


  • 汎用電子は、戸籍統一文字、住基ネット統一文字、登記統一文字を対象とするプロジェクトであり、平成明朝のJB1908(「冫」が下までくる形)はそのいずれにも含まれないため、汎用電子12分冊の文字表に掲載されていない。
  • しかし、JB1908は補助漢字グリフ(つまり、ISO/IEC 10646に掲載されているグリフ)であるため、Hanyo-DenshiのIVDを登録する際、特例として追加されたようだ*1
  • そのようなわけで、JB1908は「Hanyo-DenshiのIVDには含まれるが汎用電子の文字表には掲載されていない字」となり、汎用電子の文字表をベースとした文字情報基盤の文字情報一覧表にも含まれていない(MJ番号も振られていない)。
  • IPAmj明朝は、このJB1908相当のグリフを持っている(GID+2005)。が、IVSのテーブルは文字情報一覧表に従っているため、そこに存在しない文字のIVSはサポートしないということだと思われる。
  • 単純に文字情報一覧表にJB1908を追加してMJ番号を振って「51DE E0105」をサポートすればいいんじゃないのと思わないでもないが、Hanyo-Denshiの2010-11-14版のIVDをフルサポートすることより、「文字情報一覧表には戸籍統一文字と住基ネット統一文字のみを掲載する」というルールのほうが優先順位が高いということだろうか。
  • 表示できないIVSの2つ目は、「真」を基底文字とする「771F E0104」(IB2489)。


  • こちらの例では、IPAmj明朝はIB2489のグリフを持っていないので、当然、表示しようがない。
  • むしろわかりにくいのは、なぜIB2489が2010-11-14版のIVDに含まれているのかという点。Hanyo-DenshiのIVDの最初の登録は、戸籍統一文字と住基ネット統一文字が対象だったが、IB2489はそのどちらでもないからだ。
  • おそらく、IVDに登録したかったのは、住基ネット統一文字のB64A(2画目が斜めの形)だったのではないか。しかし、IVDの登録に用いた平成明朝は、住基B64Aを表現できるグリフを持っていない(住基B649と区別できない)。そこでJTB649(住基B649)とは別にIB2489を(住基B64Aのために)登録したのだろうと思う。
  • つまり、住基B649(MJ018175)はIVDに登録され損って宙に浮いているとも考えられるわけだが、それで困ったことになるシーンが存在するのかどうかは、よくわからない。

*1:このあたりの事情については、@kawabataさんに教えていただきました。ありがとうございます!