キャロン付きグリフをめぐるAdobe-Japan1の混乱


  • まず2004年のAJ16で、CID=15447、CID=15739、CID=15747の例示グリフをキャロン付きからアポストロフィ付きに変更しているのが疑問だが、さらに問題なのはCID=20341とCID=20359にキャロン付きの「L」と「l」を追加していること。例示字体を置き換えた上、元からあったほうを他の位置に移すというやり方は、まるでJIS83である。キャロン付きとアポストロフィ付きを区別したいのであれば、なぜアポストロフィ付きのほうを新規に追加しなかったのだろう。
  • 2004年版のAJI6でCID=15751の「t」がキャロン付きグリフのままなのは、2008年にアポストロフィ付きグリフに変更されていることから考えると、単なる見落としだったのだろうか。
  • AJ16でキャロン付きとアポストロフィ付きを区別して定義しているのが「L」と「l」だけだというのもわからない。Unicode Standardによれば、キャロン付きの「d」「t」はチェコ語とスロヴァキア語の両方で用いられるが、キャロン付きの「L」「l」はスロヴァキア語のみで用いられる。後者だけではあまり役に立たない気がするのだが。Adobe-Japan1-7ではキャロン付きの「d」「t」グリフが追加されることになるのだろうか。
  • もちろん、一度ねじれてしまった以上、今後Adobe-Japan1に追加すれば解決するという問題ではない。下図はモリサワPr6/Pr6Nフォントにおける実装。AJ16追加分は、単なる重複となっている。