サルでもわかる行送りの基準位置

  • InDesignの「文字揃え」と「行送りの基準位置」と「グリッド揃え」の関係とかについては、たまに必要があって調べると*1、そのときはいくらかわかった気になるのだけれど、3日後くらいには、またすっかり忘れている。そんなわけで、今後の自分のために、「これだけ読めば一応わかる」という程度のことをメモしておこうと思う。
  • まず、文字パネルメニューの「文字揃え」。これは、1行の中に異なるサイズの文字が混在するときの、文字の位置の基準を指定するものだ。単独で見るぶんには、特に複雑ではない。下図は、仮想ボディを示すブロック要素(█)、ラテン文字の「T」、漢字の「十」を、サイズを変えて並べたもの。ブルーの線が文字揃えの基準。


  • 文字の下のラインを揃えたい場合、主に仮名や漢字からなる文章を組むなら、「文字揃え」は「平均字面の下/左」としておくのがベストだろう。
  • 次に、段落パネルメニューの「行送りの基準位置」。ここからちょっとわかりにくくなるので、1つずつ見ていく。「行送りの基準位置:仮想ボディの上/右」のロジックは、下図のとおり。ある行の行送りが、次の行との距離を決定する。行間は行送りと文字サイズの差なので、簡単に暗算で得られる。PageMakerからInDesignに来た人には、これがいちばんわかりやすいんじゃないかと思う。


  • 「行送りの基準位置:仮想ボディの中央」については、下図のとおり。「仮想ボディの上/右」以外では、ある行の行送りは、次の行との距離ではなく前の行との距離を決定し、1行目の行送りの設定は使われない。たとえば1行目の行送りを「5000pt」に変えてみても、見た目はまったく変わらない。写植の経験がある人には、この「仮想ボディの中央」が使いやすいらしいが、行間の計算はやや面倒だ。半端な数字だと暗算はきついと思う。


  • 下図は、「行送りの基準位置:欧文ベースライン」。QuarkXPressから来た人には、これがしっくりくるらしい。行間の計算は複雑で、暗算はムリ。


  • 下図は、「行送りの基準位置:仮想ボディの下/左」。行間の計算はラク。どんな人に愛されている設定なのかは不明。


  • というわけで、次の段階として、「文字揃え」と「行送りの基準位置」の組み合わせについて考えてみる。「文字揃え」は仮名や漢字に適した「平均字面の下/左」で行くことにする。では、「文字揃え:平均字面の下/左」との組み合わせにおいてベストといえる「行送りの基準位置」は、どれだろう?
  • 文字のサイズと行送りが行ごとに変わる組みであれば、「文字揃え」と「行送りの基準位置」はある程度独立に捉えることができるので、慣れている方法で問題ないかもしれない。ただし、下図のように行間を厳密に等しくしたいケースでは、計算の面倒な「行送りの基準位置:欧文ベースライン」は避けたほうがいいと思う。


  • 意外に面倒なのが、下図のような、文字のサイズがときどき大きくなる行送り一定の箱組み。こういうケースでは、「文字揃え」と「行送りの基準位置」が一致していることが望ましいのだが、「行送りの基準位置」には「平均字面の下/左」という選択肢がないからだ。


  • 以下の4つの図は、「文字揃え」と「行送りの基準位置」が一致している例。いずれも一目でロジックがわかる。





  • しかし、「文字揃え」には「平均字面の下/左」を使いたいので、これと4種類の「行送りの基準位置」を組み合わせてみたのが、以下の4つの図。ベースとなる文字(これらの例では50pt)の行送りを均等にしたいのに、4種類の「行送りの基準位置」のどれを使っても、そうならない。「文字揃え」では、行中で最も大きい文字が基準となるからだ。





  • ここで「文字揃え:平均字面の下/左」を諦め、「文字揃え」と「行送りの基準位置」を「欧文ベースライン」で揃えて、文字の下のラインのズレはベースラインシフトで調整するという選択肢も現実的だろう。しかし今回は、「文字揃え」と「行送りの基準位置」と「グリッド揃え」の関係を理解すべく、グリッドを導入してみようと思う。これ以降の話は、長くなりそうなので続編「サルでもわかるグリッド揃え」で。

*1:もちろん「なんでやねんDTP」で「文字揃え」「行送りの基準位置」「グリッド揃え」あたりを検索をして読むわけです。works014さん、お世話になっています!