ケータイ絵文字の涙と汗

  • 前回の続き。下図の顔文字(ISO/IEC 10646:2003/Amd.8の草案にあるもの)はいずれもケータイ絵文字をソースとするものだが、これを見て、それぞれの意味を当てられるだろうか。


  • Google提案における顔文字のデザインは、比較的写実的なものだった。ケータイ絵文字は色もアニメーションもありなので、そのニュアンスを表現しようとすると、細部まで描き込まざるをえなかったのだろう。このためGoogle提案の顔文字では、頭髪の表現を省略しているだけなのに(描き込んでいる部分とのギャップにより)「スキンヘッドの人」に見えてしまうというような側面があった。
  • そのような問題に対する揺り戻しなのか、上に掲げたAmd.8草案の顔文字は、Google提案のそれと比較して格段にシンプルなものとなっている。
  • 下図は、Amd.8草案、Google提案、そのソースであるケータイ絵文字を比較したもの。水滴形の表現が意味しているのは、キャリア各社およびGoogle提案では明らかに、上から順に「涙」「鼻ちょうちん」「汗」である。が、Amd.8草案のそれは、わたしにはすべて涙にしか見えない。


  • U+1F620 SLEEPY FACEに関しては、あくびをすると涙が出ることもあるので、意図的に鼻ちょうちんではなく涙を採用したという解釈も成り立つかもしれないが、いずれにせよこれを「SLEEPY FACE」と見るのは難しい。
  • U+1F622 FACE WITH COLD SWEATに関しては、文字名にそうある以上、まさか汗以外のものではないと思うが、なぜわざわざこんなに紛らわしい位置に汗を配置しているのだろう。
  • 絵文字の表現における文化的な差異といった問題以前に、AMD.8草案の顔文字のデザインは「やる気がない」ように見えるのだが、気のせいだろうか。