なぜUnicodeには分数の「0/3」が入っているのか

  • Adobe-Japan1の分数は(特にUnicodeとの関係において)けっこうぐしゃぐしゃなので、ちょっと整理してみよう。下図は、横棒を使う分数のリスト*1。Proフォントでは「分数(afrc)」フィーチャで用いられる。分母が2から12までの約分できない真分数と「0/3」と「1/100」。


  • 上図と同じ字種について、数字を斜めに配置するグリフも用意されている(下図)。これらはProフォントでは「スラッシュを用いる分数(frac)」フィーチャで用いられる*2


  • 上図のグリフはすべて全角だが、斜めに配置する分数の一部には、プロポーショナル・グリフも用意されている(下図)。


  • 下図は、Unicodeに含まれる分数を、Mac OS Xの文字ビューアからInDesignに入力したもの。Adobe-Japan1ではプロポーショナル(黄色地)優先のマッピングであるため、「2/5」などの全角グリフ(グレー地)と混じって、気持ちが悪い。たとえば「1/5」(U+2155)と「2/5」(U+2156)を含むUnicodeテキストの原稿を素直に組んだりすると、悲しいことになる。なお、全角グリフへのマッピングは、比較的古いcmap*3を採用しているフォントには存在しない。


  • 上図で「0/3」「1/7」「1/9」「1/10」がゲタとなっているのは、Unicode 5.2.0(2009年10月)で追加された文字であり、まだcmapに反映されていないため。これらの文字のソースは、日本のARIB(社団法人電波産業会)外字。
  • 分子が0の分数のなかで「0/3」だけがARIB外字、UnicodeAdobe-Japan1に含まれるのは、わかる人にはすぐにわかったと思うが、野球の投球回(登板したけれどアウトを1つも取れなかったイニング)を表すのに使われるため。

*1:これ以外に「1/2」に限って半角グリフ(CID+614)が存在する。

*2:Pr6Nフォントにおける'frac'の挙動については、後日。

*3:UniJIS-UTF32-H/UniJISX0213-UTF32-Hの1.002以前またはUniJIS-UCS2-H。