U+29FCEとU+29FD7の混乱
- 「ヒラギノProNにおけるCIDと符号位置の1対nマッピング」でも触れた「両方とも統合漢字なのにCIDと符号位置が1対2マッピング」のU+29FCE、U+29FD7について、気になったので少し調べてまとめてみた。ただし、あまりまとまっていない。
- JIS X 0213のドラフトおよびUCSへの文字追加提案では、2-94-5は下図ピンク地の形(「了」形)だった。ISO/IEC 10646-2のドラフトには、この2-94-5を単独ソースとして29FCE(「了」形)が入った(実際には、ドラフトの段階の符号位置は規格票と同じではないが、ここでは話をシンプルにするために規格票発行後の符号位置に表記を統一する)。
- JIS X 0213:2000の規格票では、2-94-5は上図水色地の形(「予」形)に変更された。ISO/IEC 10646-2のドラフトでは、この「予」形は別の符号位置29FD7に入っていたので、日本は2-94-5のマッピングを29FCEから29FD7に変更するよう提案したが、却下された。29FCEはJIS X 0213の単独ソースだったため、マッピングを変更すると「ソースなし」になってしまうからだろうか。
- その後、マッピングを変更する代わりに、29FCEの例示字形を(JIS X 0213の規格票にあわせて)「予」形に変更したたため、29FCEと29FD7の形が同じになった……というようなことらしい。が、時系列順に並べてみると、どうも、もう1回(というか2回というか)余計にねじれている気がする(下図)。
- また、上図におけるISO/IEC 10646(-2)の01年版、03年版、05年版に対応するのが、Unicodeでは3.1、4.0、4.1ということになっているが(http://www.unicode.org/versions/Unicode5.0.0/appC.pdf)、ISO/IEC 10646:2003/Amd 1:2005とUnicode 4.1では29FCEの形が一致していない。これはUnicode 5.0でも同じ(下図)。
- このエントリでは、ISO/IECやUnicode Consortiumのドキュメント以外に、川幡太一氏の「Re: Mule-UCS: JIS X 0213:2004 support」および福田雅史氏の「JIS X 0213改正原案 公開レビューに対するコメント」を参考にした。