日本語OpenTypeフォントの分裂の歴史

  • CMapの系統図を描いてみた。


  • 上図左上、源流となっているUniJIS-UCS2は、Adobe-Japan1-4(AJ14)をレパートリとするCMapである。
  • Appleは、2001年9月リリースのMac OS X 10.1でApple Publishing Glyph Set(APGS)を投入し、JIS X 0213:2000をサポートした。APGSはレパートリとしてはAJ14のスーパーセットだが、主にJIS X 0213との整合性を高めるために、既存のマッピングに変更が加えられている。
  • 2002年9月、AdobeはAPGSを追認する形でAdobe-Japan1-5(AJ15)を策定したが、Appleによるマッピング変更の一部(主としてプロポーショナル・グリフの採用)には追随しなかった。このためAJ15以降のCMapには、Apple用のもの(UniJISX0213系)とそれ以外(UniJIS-UTF32系)の2系統が存在することとなる。
  • 2004年、UniJIS-UTF32およびUniJISX0213-UTF32は、バージョン1.003でAdobe-Japan1-6対応に拡張された。
  • JIS X 0213:2004の例示字形変更を受けて、UniJISX02132004系(AppleのJIS04基準フォント用)とUniJIS2004-UTF32系(それ以外のJIS04基準フォント用)が策定された。これにより、最新のCMapだけでも4系統となった。
  • フォントとCMapのレパートリは、必ずしも一致しない。たとえば小塚書体は新しいCMapを採用する傾向があり、CS3やCS4に付属する小塚明朝Pro(4.000/4.001)のCMapは、UniJIS-UTF32 1.004(AJ16)である。一方モリサワリュウミンProは、現在もUniJIS-UCS2を採用している。Adobeは最新のフォント間の相互運用性重視、モリサワは時系列の互換性重視ということだろうか。