InDesign CS5で線の長さを変えると位置がズレる

  • InDesign CS5では、変形パネルに数値を入力して(ドラッグではなく)オブジェクトのサイズを変更すると、基準点まで動いてしまうことがある*1。これでは使い物にならないので、問題の全体像を把握しようと試み、回避方法を探ってみたい*2
  • 下図は、InDesign CS4で長さ100pt・幅10ptの線を選択し、基準点を変化させながら、変形パネルで線の長さ(L)を200ptに変更した結果を示す(以下の図では、黒が変更前、グレーが変更後)。ズレは見られない。


  • InDesign CS5で同じことをしたものが、下図。InDesign CS5では、変形パネルメニューの「境界線の線幅を含む」のチェックの有無によって結果が変わってくるが(CS4なら、線オブジェクトに関してはどちらでもズレない)、下図はチェックのある場合。ヨコ線なら基準点が上(左上、中央上、右上のいずれか)、タテ線なら基準点が左(左上、左中央、左下のいずれか)以外のときにズレる(以下の図では、変更後のオブジェクトがズレてしまったものを黄色で示す)。


  • 下図は、InDesign CS5で「境界線の線幅を含む」のチェックを外した場合。ヨコ線なら基準点が上下の中央(左中央、中央中央、右中央のいずれか)、タテ線なら基準点が左右の中央(中央上、中央中央、中央下のいずれか)以外のときにズレる。


  • 要するに、CS5では「境界線の線幅を含む」がオンでもオフでも完全ではない。しかし一応、基準点の選び方によってズレを回避することは可能であり、「境界線の線幅を含む」をオフにするほうが(軸上の点を基準点とすればいいので)若干わかりやすい。ところが、「境界線の線幅を含む」のチェックを外すと、今度は長方形オブジェクトのサイズの変更でズレが生じるようになる。下図は(線幅を含めずに)天地左右30ptの長方形オブジェクトの左右(W)または天地(H)を、基準点を変化させながら、変形パネルで60ptに変更した結果を示す。


  • 上図から明らかなように、このズレは、左右あるいは上下の一方に向けて変形したいときには、回避する方法がない。また、このズレはCS4でも見られるものである。「境界線の線幅を含む」にチェックを入れておけば、このような長方形オブジェクトのズレは発生しない。


  • そんなわけで、あまりすっきりしない結論だが、InDesign CS5で作業する場合、「境界線の線幅を含む」にはチェックを入れ、ヨコ線なら上、タテ線なら左の(変形パネルでは黒ではなくグレーになっている)点をクリックして基準点に設定した上*3で変形する、というのが現実的な対処法だろうか。

*1:この挙動は、線パネルの「線の位置」の設定にも依存するが、以下、「線の位置」は「線を中央に揃える」であることを前提として話を進める。

*2:このエントリに含まれる情報のうち核となる部分は、seuzoさんのご教示によるものです。ありがとうございます。

*3:グレーで表示されているので、クリックしても選択できないようにも見えるが、選択できる。