InDesignの「CIDベースの文字組みを使用」と括弧類(まとめ)

  • 今回のエントリは、「CIDベースの文字組みを使用」に関する話題のなかでの括弧類の総集編であり、各論へのインデックスでもある。*1
  • 「CIDベースの文字組みを使用」のオン/オフによる文字クラスの変化を記述しようとするとき、グリフ置換を考慮すると、CIDと符号位置の関係が1対1にならないため、話が非常に複雑になる。しかし、文字の幅などを変更するためにグリフ置換を利用するケースは、かなり珍しいのではないかと思われる。そこで今回は、「グリフパネルをダブルクリックしたときに入力される(その後グリフを置換されていない)文字」のみを対象とし、CIDと符号位置の関係を1対1に固定して扱うこととした。また、概略が見通しやすくなるように、縦組み用のグリフを対象から除き、フォントはリュウミンPr6(Adobe-Japan1-5以降のcmap)に固定することで話をシンプルにした。
  • InDesignにおける文字クラスは、和文にも欧文にも用いる括弧の場合、全角なら「括弧類」、そうでなければ「欧文用文字」、というのが基本となる。丸括弧、角括弧、波括弧の文字クラスは「CIDベースの文字組みを使用」のオン/オフによる影響を受けず安定しているが、山括弧は例外的(下図)。*2


  • 和文用の括弧では、全角グリフだけでなく半角グリフも「括弧類」となるのが基本である。下図のように、その文字クラスは概ね安定している。半角鍵括弧の動作が例外的なのは、他の半角グリフと異なりUnicodeの符号位置と直接対応しているため。また、「CIDベースの文字組みを使用」がオフの場合、小鍵が「括弧類」ではなく「その他の和字」となってしまうのは、(「半角」などとは異なり)OpenTypeフォントに「小鍵」というタグは存在しないため、グリフパネルからの入力では不適切な親字(符号位置)が選ばれてしまうことによる。*3


  • 引用符(クォーテーションマーク)は例外。特に今回、グリフパネルをダブルクリックするという入力方法を採用したことにより、下図ではシングルとダブルの非対称性が目立っている。*4

*1:「CIDベースの文字組みを使用」についての総論は、「InDesignの「CIDベースの文字組みを使用」とは何か」を参照。

*2:フランス語の引用符と日本語組版で用いる山括弧の関係については、「山括弧と仏語引用符と不等号の混乱」を参照。

*3:もちろん適切な親字(この場合は通常の鍵括弧)を選んでくれればよいのだが、InDesignのグリフパネルは、aaltタグで表現されるグリフの親字として、むしろ不安定なものを選ぶ傾向がある。この話についての詳細は、「その文字はなぜInDesignでロックされてしまうのか」を参照。

*4:引用符についてはいろいろ注釈が必要なので、詳しくは「Adobe-Japan1とInDesignの二重引用符」「InDesignにおけるシングル引用符の縦組み」「InDesignの「CIDベースの文字組みを使用」とシングル引用符」を参照。