Unicodeのアポストロフィとシングル引用符

  • Unicodeには、3つのアポストロフィがある(下図)。このうちU+02BC MODIFIER LETTER APOSTROPHEは、Adobe-Japan1-5以降のcmapを採用しているフォントでのみ利用できる。


  • U+0027 APOSTROPHEは、ASCIIにおける文字名とあいまいなセマンティクスを、そのまま継承している。ASCII起源の文字に対しては、セマンティクスの追加や削除を行わないというのが、Unicodeの基本的な姿勢である。
  • U+02BC MODIFIER LETTER APOSTROPHEは、句読点ではなく文字(letter)としてのアポストロフィ(letter apostrophe)であり、たとえば音写における声門閉鎖音の表現などに用いられる。
  • U+2019 RIGHT SINGLE QUOTATION MARKは、(なじみのある)句読点としてのアポストロフィ(punctuation apostrophe)であり、同時に受けのシングル引用符でもある。「RIGHT SINGLE QUOTATION MARK」という(「APOSTROPHE」を含まない)文字名には、「名前」以上の意味はない。


  • JIS X 4051では、シングル引用符の文字クラスは「括弧類」となる。このため、Unicodeベースで文字クラスを決定するシステムでは、アポストロフィとして用いられているU+2019も「終わり括弧類」として組まれ、不要なアキが入ってしまう(下図)。この問題は、Illustrator(CS3で確認)、CS以前のInDesign、「CIDベースの文字組みを使用」がオフのInDesign CS2/CS3で発生する。


  • InDesign CS2以降で「CIDベースの文字組みを使用」をオンにしている場合、プロポーショナルのCID+96の文字クラスは「欧文用文字」となり、他の欧文用文字との間にアキは入らない(下図)。