横組み用仮名(hkna)と縦組み用仮名(vkna)は使うべきか

  • OpenTypeのProフォントには、横組み用仮名(hkna)、縦組み用仮名(vkna)というフィーチャがあり、InDesignでは文字パネルのメニューで「OpenType機能>横または縦組み用かな」にチェックを入れて利用する。
  • このフィーチャは、実装にバラツキがある。モリサワ・フォントでは、デフォルト、横組み用、縦組み用の仮名を区別していない。ヒラギノでは、横組み用とデフォルトを区別し、縦組み用とデフォルトの区別はない。小塚書体は三者を区別している。
  • 下図は、ヒラギノ明朝のデフォルトの仮名をグレー、横組み用を赤で示し、それを重ねてみたもの。横組み用(hkna)では、縦書きとの運筆の違いを反映して「い」が2画目のハネのない形となっているほか、横組みベタの際の文字間のアキが均一となるよう、総じて(特に縦長の文字の)幅が広めにデザインされている。


  • ちなみにご存知のとおり、横組み用仮名をデフォルトと区別していないリュウミンの「い」は、2画目がハネるデザインである(下図)。このあたりは考え方の違いなのだろう。


  • 下図は、小塚明朝のデフォルトの仮名と横組み用仮名を比較したもの。ヒラギノ明朝とは逆に、横組み用仮名よりもデフォルトの仮名のほうが文字の幅が広めである。


  • 小塚明朝では、横組み用仮名と縦組み用仮名が比較的似ており、デフォルトの仮名とは別系統となっているように見える。おそらく横組み用仮名と縦組み用仮名を書籍本文などに適した仮名と位置付け、デフォルトの仮名よりもやや小ぶりで主張の強くないデザインを採用しているのだろう。以下の図は、デフォルトの仮名をグレー、横組み用を赤、縦組み用を青で示し、それぞれを重ねもの。「か」の例では、横組み用と縦組み用は、まったく同じ字形。