マイナス記号の半角グリフをめぐって
- 下図は、プラス記号とマイナス記号をヒラギノ丸ゴProで入力し、左からプロポーショナル(pwid)、イタリック(ital)、全角(fwid)、半角(hwid)タグを適用したもの。マイナス記号の半角グリフ(CID=514)のデザインが、他と合っていない。
- これは、小塚書体でも同様。下図は小塚ゴシックPro H。
- モリサワ・フォントでは、デザイン的な不整合はない。下図はゴシックMB101 Pro B。
- CID=244は、もともとJIS X 0201のラテン文字集合を半角で実装した場合の0x2D HYPHEN-MINUSを表現するためのものだから、これをマイナス記号の半角グリフとしてデザインするのは妥当であると思われる。
- 一方、半角(hwid)タグによる置換後のグリフであるCID=514は、出自がPC 98独自の拡張半角文字(下図0x869D)であるため、それが何を表現するための文字であったのかを示すような資料は持っていないが、JIS X 0201のラテン文字にすでに(ハイフンとの両用ではあるにしても)存在したマイナス記号であるとは考えにくく、おそらく「半角ダッシュ」ではないかと推測される。
- そのようなわけで、マイナス記号に半角(hwid)タグを適用したとき、CID=244ではなくCID=514に置換される理由は謎。モリサワ・フォントではマイナス記号の半角グリフがCID=514であってもデザイン的な不整合はないが、モリサワ・フォントの場合、CID=244とCID=514を同じ字形にしているために整合性が保たれているのであって、CID=514が半角マイナス記号であることを積極的に支持する理由が存在するわけではない。というか、モリサワ・フォントでも、CID=514は和文属性となるため、欧文属性のCID=244のほうがマイナス記号の半角グリフとして適切なのではないかと思う。下図はゴシックMB101 Pro B(InDesign CS3でCIDベースの文字組みを使用)。