ハイフンの仲間たちの混乱

  • Adobe-Japan1-7に向けて以前書いたことを蒸し返してみるシリーズ、第2弾。横棒型のグリフをめぐる混乱について。以下の図は、ハイフン、ENダッシュ、EMダッシュ、マイナス記号、プラス記号を入力し、左からプロポーショナル(pwid)、イタリック(ital)、全角(fwid)、半角(hwid)、三分(twid)、四分(qwid)のタグを適用したもの。グレー地は文字幅。正方形の枠は全角の目安。
  • 下図はヒラギノ。「ハイフンの半角字形」と「マイナス記号の半角字形」(赤枠)のデザインが、他と揃っていない。


  • これを直してみたのが、下図。まず、「ハイフンの半角字形」には、適切なグリフが存在しない。CID+244はハイフンとマイナス記号に共通の半角グリフであるため、ヒラギノのように両者のデザインを区別する体系では、無理が生じてしまう。この問題を解決するためには、「ハイフン専用の半角字形」(下図A)を追加する必要があると思う*1。もう一方の「マイナス記号の半角字形」については、ヒラギノに限らずCID+514ではなくCID+244とするのが適切だと思う。が、互換性を損ってはまずいので、GSUBテーブルを修正しろと言うつもりはない。


  • 次に小塚書体について見てみる(下図)。「ハイフンの全角字形」と「マイナス記号の半角字形」(赤枠)のデザインが、他と揃っていない。


  • これを直してみたのが、下図。「ハイフンの全角字形」の不整合は、まあ、わざとなのかもしれないけれど、「細くない全角ハイフン」(下図B)が存在しないのは、やはり気持ち悪い気がする*2。「マイナス記号の半角字形」については、ヒラギノの項で述べたとおり。


  • ちなみにモリサワフォントは、横棒型のグリフ群のデザインにおいて(たとえばCID+514とCID+244のグリフを共通とするなど)区別の少ないシステムを採用しており、現状でも整合性を保っている(下図)。


  • 関連するエントリは以下のとおり。

マイナス記号の半角グリフをめぐって
ヒラギノの半角ハイフンと小塚の全角ハイフン

*1:AのグリフはCID+244にベースラインシフトをかけて調整したもの。

*2:BのグリフはCID+14をもとにベースラインや垂直比率を変えて適当に調整したもの。