2010-01-01から1年間の記事一覧

iPadで表示できない文字

yanokさんの「iPod TouchはJIS X 0213の全ての文字に対応しているわけではなかった」というエントリを読んで、iPadで確認してみた。具体的には、ヒラギノProNに含まれるグリフのうちUnicodeマッピングのあるものをすべて含むテキストを作成し、iPad上のアプ…

改訂常用漢字表のフォント

文化庁のサイトで公開されている「改訂常用漢字表(答申)」のPDF(http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/kantei_kanji_toushin.pdf)には、9種類のフォントが埋め込まれている。それぞれがどのような箇所で使われているのか、まとめてみたのが…

ウェブ用の図で「にじまない細い直線」を描く方法

InDesignで図を作り、それをキャプチャしてウェブに載せるとき、「にじまない細い直線」が欲しい場合がある。たとえば、下図の赤枠。 が、同じ幅の直線であっても、座標によってアンチエイリアシングのかかり方が異なるため、画面上の線の太さと色の濃さにバ…

ThunderbirdとApple Mail間の添付ファイル名の文字化け

前回のエントリで述べたように、Thunderbird 3とApple Mail 4.2は、ともにRFC 2231をサポートしているが、その方法に若干の違いがある。 長いファイル名をRFC 2231でエンコードする際、Thunderbirdは複数行に分割し、Apple Mailは分割しない。下図は、「あい…

日本語の添付ファイル名のエンコーディング

メールの添付ファイル名をめぐる問題について、Mac OS Xユーザの視点でまとめてみる。 添付ファイルを送信する際、その名前はどこに書かれるのか。RFC 2183では、添付ファイル名はContent-Dispositionフィールドのfilenameパラメータに記述することになって…

1画目がヨコの「立」

「立」の1画目がヨコのパターンについてtwitterで話題になったので、このグリフがAdobe-Japan1-6ではどの程度サポートされているのかをメモ。限定なしで検証するのはたいへんなので、常用漢字に絞って部分字体「立」を含む字を(「商」のような形も含めて)…

ハイフンの仲間たちの混乱

Adobe-Japan1-7に向けて以前書いたことを蒸し返してみるシリーズ、第2弾。横棒型のグリフをめぐる混乱について。以下の図は、ハイフン、ENダッシュ、EMダッシュ、マイナス記号、プラス記号を入力し、左からプロポーショナル(pwid)、イタリック(ital)、全…

Adobe-Japan1-7でキャロン付きグリフはどうなるのか

そろそろAdobe-Japan1-7という話も出ているようなので*1、以前に書いたことをAJ17への要望として蒸し返してみる。 Adobe-Japan1のTechnical Noteにおいて、キャロン付き「d」「L」「l」「t」のグリフは、下図のように変化している(赤字のCIDにおける赤矢印…

U+2363AとU+2B78F

CJK統合漢字拡張BのU+2363AはJIS X 0213をソースとして、拡張DのU+2B78Fは住基統一文字をソースとして、いずれも日本から提案された文字。 これほど似ているのがよく入ったなあ、というだけの簡単なメモ。昨日のエントリに出てきたU+2B78Eも似ているけど別の…

IVDとCJK統合漢字拡張Dの重複

前回は、IVDにも拡張Dにも入りそこねた漢字について述べた。今回は逆に、IVDに入ったにもかかわらず、その後拡張Dに収録されようとしている例*1について。 IVDのレビュー期間にはすでに、これらの漢字は拡張Dの候補として提案中*2だったのだが、このあたりの…

Unicodeでは表現できない2つの漢字

2年ほど前のエントリ(「Unicodeに入った漢字」と「まだUnicodeにない漢字」)で、「Adobe-Japan1にあってUnicodeにない漢字」が20文字あると書いた。今回は、この皆さんのその後について。 まずCID+13782(上図、グレー地)が、台湾(CNS 11643-2007 plane …

DPRK互換漢字のU+FAA4

たぶん誰かがすでに指摘していることだろうけど。DPRK互換漢字のU+FAA4は、CJK統合漢字拡張BのU+24E04だと思う。 Adobe-Japan1のCMapは、(U+FA8EとCID+14131など、その気になれば追加できるマッピングはいくつかあるのだが)すべてのDPRK互換漢字(U+FA70-U…

Adobe-Japan1-6に追加されなかったマッピング

Adobe-Japan1-6の新しいCMapが、4月25日に公開された*1。今回は53のマッピングが追加されている(下図)。 このうちU+2B1A(CID+11036)とU+233CC(CID+14140)以外はUnicode 5.2のサポート。CID+14140は以前からCJK互換漢字追加ブロックのU+2F8DBと対応付け…

1Q84のアポストロフィ

村上春樹『1Q84』のBOOK 3を買ったのでBOOK 1から読みはじめたのだが、エピグラフの出典表記を見てあれっと思った。アポストロフィがタテ(U+0027、CID+8)だ。加えて、左引用符の後ろに謎のスペースが入っている(下図)。 さらに言えば、ピリオドの後ろに…

フレームグリッドの設定がテキストフレームでよみがえる

あまり一般的でない条件下でしか顕在化しないバグ(だと思う)なのだけれど、再現手順をメモしておく。作業環境はInDesign CS4(6.0.4)。 フレームグリッドを作成する。現象を把握しやすくするために、適当な文字を入力しておく(下図)。 これを「オブジェ…

汎用電子の「FT」とか「HG」とかって何?

汎用電子の異体字データベース(IVD)登録にともなう公開レビュー(PRI 167)のドラフト(IVS-0322.pdf)を見ていると、「IA0204」といったグリフ名の、先頭の2文字の意味が気になってくる。すぐに見当がつくものもあるのだけれど、いくら考えてもわからない…

IVD登録候補グリフの親字

PRI 167を見ていて気付いたことシリーズ。今回は親字(基底文字)の選択について。 IB2489(グレー地)をU+771F(真)のバリアントとするなら、JTBE25(黄色地)の親字はU+93AD(鎭)ではなくU+93AE(鎮)とするべきではないだろうか。

IVD登録候補グリフと統合漢字の衝突・その2

前回のエントリのコメント欄でKen Lundeさんにご指摘いただいた例と、その後見つけた例を図にしてみた。左側がPRI 167のグリフ。 今回のグリフはいずれもAdobe-Japan1には入っていないので、右側のグリフについては、(まだ規格化されていない)CJK統合漢字…

IVD登録候補グリフと統合漢字の衝突

前回のエントリの続き。PRI 167の確認作業をはじめてすぐに2つひっかかったので、けっこうな数になるかと思ったのだけれど、結局見つけたのは合計3つだった(下図)。(追記。コメント欄も参照) これらはIVD登録から外さなければならないはず。

汎用電子における「乕」の異体字

PRI 167(http://www.unicode.org/ivd/pri/pri167/index.html)チェック中。まだ時間がかかりそうなので、とりあえず気付いた点をメモ。 U+4E55のvariant-2とされているKS001760って、U+200B0じゃないだろうか。 追記。U+51DEのvariant-3とされているJTB546…

汎用電子の「邉」とAdobe-Japan1の「邉」

汎用電子情報交換環境整備プログラムの異体字データベース(IVD)登録にともなう公開レビューがはじまっている。 登録候補のリストを見ると、バリアントがいちばん多いのが「邉(U+9089)」で、15文字。先行してIVDに登録されているAdobe-Japan1における「邉…

新常用漢字表試案が個別デザイン差を導入

新常用漢字表試案が、複雑になっていく。小形さん(もじのなまえ)が「第40回漢字小委員会で、情報機器に配慮した修正案を提示」というエントリで資料を公開しているが、この修正案では新たに「特定の字に適用されるデザイン差」(以下「個別デザイン差」と…

新常用漢字表試案における「次」の変遷

このエントリは最初「複雑化する新常用漢字表試案」というタイトルだったのだが、内容に誤りがあったので削除した。以下、問題のあった部分(第1次試案と第2次試案の違いを見落としていた)に関するメモ*1。 現行の常用漢字表に含まれる文字のなかで、部分字…

Safariがバックスラッシュを円記号に置き換える理由がわからない

nurseさん(はてなるせだいあり)の詳細なリポート「円記号問題とウェブブラウザ」によると、Safariの「EUC-JPのページの0x5Cを円記号として表示する」という動作の背景には、「ユーザはそうして欲しいはずだ」という(WebKitの開発者の)信念があるらしい。…

複数行にまたがる括弧はなぜズレるのか

InD-Boardで出ていた「複数行にまたがる括弧」の話が興味深かったので、ちょっと調べてみた。皆さんの指摘に付け加えるような知見はないのだけれど、以下、文字コード的な雑談として。 Unicodeには、複数行にまたがる丸括弧、角括弧、波括弧がある(下図)。…

フォントによるGSUBフィーチャのサポート状況

GSUBフィーチャのサポートは、フォントによって違う。今回はそれを、モリサワ、小塚、ヒラギノを対象として、まとめてみようと思う。細かい部分に目を向けると、「サポートしている」と言っても、「フルサポートか部分サポートか」とか、テーブルが微妙に違…

OpenTypeフォントの上付き文字と下付き文字

たとえば小塚明朝Pr6Nは、上付き文字・下付き文字を実現するフィーチャとして、'sinf'(Scientific Inferiors)、'subs'(Subscript)、'sups'(Superscript)をサポートしている。下付きのほうが2種類あり、どこが違うのか気になるところである。「InDesign…

ベースボールとサッカーボール

たぶんすでに多くの人が突っ込んでいることだと思うが、Adobe-Japan1フォントの'dlig'(任意の合字)のレパートリは変だと思う。下図はInDesignの字形パネルで見た小塚ゴシックPr6Nの'dlig'グリフ。 ほとんどが「複数の文字の組み合わせ」という条件を満たし…

「スラッシュを用いた分数」の仕様変更

Adobe-Japan1フォントには、分数に関して4つのスタイルが用意されている。下図は「1/2」を例としたもの。3番目の「斜め型・グリフの動的合成」以外については、前回のエントリでも触れた。 OpenTypeフォントには、分数に関するフィーチャとして、'afrc'(分…

なぜUnicodeには分数の「0/3」が入っているのか

Adobe-Japan1の分数は(特にUnicodeとの関係において)けっこうぐしゃぐしゃなので、ちょっと整理してみよう。下図は、横棒を使う分数のリスト*1。Proフォントでは「分数(afrc)」フィーチャで用いられる。分母が2から12までの約分できない真分数と「0/3」…